出会い
まだ大学生だった1996年にWebと出会い、2年後の1998年あたりから自分でWebサイトをつくりはじめると同時にCSSを触りはじめました。といっても、当時はまだNetscape Navigator 4やInternet Explorer 4が全盛の時代。「CSSをつかう」というよりは、「見た目の指定をHTMLに足すことができる」という程度の認識でした。
いまはいろいろとやり玉にあげられるIEも、当時としてはかなり画期的なブラウザで、特にCSS1のサポートという点ではNN 4以上でした。むしろNN 4のほうがかなり足を引っ張っていたといってよいでしょう。
社会人として働きはじめる2000年まで、あくまで趣味としてですが、かなりの時間を好き好んでWebサイト制作に割きました。その間、CSSの大切さに気づき(というよりも、当時のレベルで普通につくったときのHTMLの汚さに嫌気がさし)、さらに「人間が悪いのではなくソフトウエアが悪いんだ」と思い込み、2000年2月に公表されたW3C勧告「オーサリングツールアクセシビリティガイドライン1.0」(ATTG 1.0)をヒマな時間をつかって翻訳し、その年の7月に公開しました。
苦難
それでやっとHTMLの本質らしきものがわかった気がしました。しかし、CSSはさっぱりわかりません。style要素やstyle属性をつかって見た目を細かく設定できるのはわかりますが、だったらHTMLのfont要素やalign属性をつかうのとどう違うのか、どちらも認められているのだったら両方つかってもよいのではないか、という疑問は消えません。ブラウザもW3CのCSS仕様に書かれているとおりに解釈し、表示してくれませんでしたので、むしろCSS仕様のほうが間違っているような思いさえ抱きました。
このような迷いや戸惑いは、いま振り返るとムリがなかった気がします。当時としてはかなり欲ばりなスタイルシート言語「CSS2」が公表されたのが1998年5月、HTMLの決定版というべき「HTML 4.01」の公表は1999年12月ですから、まだまだブラウザの実装が追いついておらず、「正しさ」を求めることができない状況だったからです。W3C が公表する仕様すべてが「正しい」わけではありませんが、「ひとまず正しそうなもの」としては無二の存在であり、それはいまでも同じでしょう。
このような苦難はしばらくつづきます。しかし、2000年11月のNetscape 6、2001年8月のIE 6のリリースによって一気にブレイクスルーされました。The Web Standards Project(WaSP)によるブラウザ開発元への働きかけが実り、一気にWeb標準準拠への流れができたのです。
すでに社会人となり、 Web制作に割く時間が急速に減っていたわたしも(Web制作には直接関係のない普通の企業の会社員でした)、遅ればせながら数年後にこのようなムードを感じ、本腰を入れて関わろうと思いました。W3C注釈「アクセシビリティに関するCSSの特徴」を翻訳し、公開したのが2003年7月です。HTMLと CSSの「いま」に必死にキャッチアップしようともがいていたころでした。
克服
CSSをモノにする機会は、意外なところから訪れました。1999年5月から自分のWebサイトでいろいろと情報発信していましたが、2003年10月ごろでしょうか、「アイツはわかっていない」という意見がどこかのサイトに書かれたのです。「わかっていない」ことを自分で気づくのはむずかしいもので、人にいわれてやっとわかりました。自分はわかっていないということを。半分は自分で気づいていたからこそ、きちんと受けとめられたのだと思います。
その少し前に会社を辞めて独立し、Web制作を主な仕事としていたので、なおさら心にしみました。時間を見つけては自分でいろいろ調べなおしたりと、しばらくしてなんとか「CSSがわかっている」レベルになったと自覚できるようになりました。といっても、どのようなことでも知れば知るほど知らないことが増えていくように、いまでもわからないことが山積みです。
でも、自分がわからないことをわかっている(無知の知)にたどり着けたことが、CSSをひとまず克服した瞬間といえそうです。正直にいえば、その瞬間の繰り返しがいまでもつづいていて、だからこそWebサイト制作にずっと関わっていられるような気がしています。


コメントする